みんなが健康に過ごせる世界を作るために自分ができること

公衆衛生と都市計画を学ぶためUCLAに留学中の和製家庭医のブログです

健康格差 & ケアへのアクセス(Week 4)

【COM-HLT210】
Health Inequalities 
正義は、公衆衛生の使命の中心をなす
共通の利益と負担の公正な分配
個人の利益と集団の利益のバランスを取る事が大事
 
equalityは全員に平等に分配する事を意味する
一方でequityは正義や人権に基づいた考え方(すべての人が自分の可能性を最大限に発揮するための公平な機会を持つべきだという考え方)
 
Proportionate Universalism:より低い地位の人にはより多くの資源配布が必要
 
不平等の測定は、しばしば医療機関へのアクセスだけで測定されている。しかし、健康の不平等には医療機関内での対応の差も影響している。しかし、そうした側面はしばしば考慮されていない。
 
Gender and Health Inequities
ジェンダーと健康格差についての研究の課題は、そもそもジェンダーに関する研究をするもとになるデータベースや指標が無いこと(既存の質問紙は男性中心に作られている)。その中でも分野によって進み具合が異なる。
 
男性の方が寿命が短い が 女性の方が罹患率は高い(女性の方が長生きするから、という説も)女性が寿命が長いのは、生物学的な有利さと、健康的な行動パターンに起因する。一方で、経済状態の不安定さや社会的なストレスに暴露されることで、非致死的な疾患に罹患しやすくなっている。というのが仮説。性差を生物学的な差異だけで説明することはできない。社会的要素と生物学的な要素がからみあって影響している。
 
ジェンダーはrelationalである。ジェンダーは生まれ持ったものではなく、社会構造によって形成される。男と女、という二項対立をやめなければならない。現実はもっと複雑。
ジェンダーには様々な社会的な構造が同時に影響しあっている(intersectionality)
また、身体的(生物的)事象と社会的な現象がともに関係している(biosocial perspective)
 
 
<Best Slide>
こどもへの教育は大事。たとえ経済的格差があっても政策次第で乗り越えられる。

 
equalityとequityを超えてjusticeを目指すのがpublic health


 
<Best Reading>
readingではないけど、最高におもしろかったしプレゼンの仕方も勉強になった
 
<コメント>
health equityとhealth equalityの違いはある程度イメージがついたけど、health inequalityとhealth inequityの違いはいまだによく分かっていない。
不平等の測定は医療機関へのアクセス、という指標でしばしば測定されるが、実際の不平等は、医療機関での扱われ方や言語的障壁、予防医療へのアクセスなど、様々な要素がからみあっており、それらはしばしば考慮に入れられていない。
性差、というのはしばしば男女の二項対立で扱われるが、もっとrelationalで、かつ生物学的な特徴と社会構造が入り組んだもっと複雑なもの。しかし、そもそも研究する基礎となる評価指標やデータベースが整っていないことが課題。
 

【PUB-HLT200】
(Community Health Science)
ケアへのアクセスの指標:場所・ポピュレーションによって異なる(2つの軸で切るのが大事)。アクセスへの障害は、保険の問題だけでなく、精神的な障壁や言語的障壁、移動のアクセスだけでなく時間的なアクセスも含まれる。また、提供されるケアの質も考慮に入れないといけない。また、治療だけでなく、予防医療へのアクセスも考慮する必要がある。racismやethnicityの話だけでなく、LGBTQsや市民権(移民)などによってもケアへのアクセスは影響を受ける
 
RaceとEthnicityの違い:しばしばraceとethnicityは重なる
Race: 定義は時代や場所によってコロコロ変わる。基本的に遺伝型ではなく表現型で定義される。自己申告が基本だが、回答する際に自分のカテゴリーがない事も。
Ethnicity: cultureやraceと混同して使われる。実際、raceやcultureなどが組み合わさったものとして、社会・文化・政治的な要素で定義される。raceの婉曲表現として使われることも。一番いいのは、国勢調査を使うのではなく、その人々の中に入って、彼らが実際にどのように社会で扱われているかを観察すればいい
 
(Biostatistics)
random sample: ①independent, ② 0の確率のものはない、という条件を満たすもの
simple random sample: ①と②の基準に加えて、選ばれる確率は全員同じ(random sampleの一部)
 
二項分布は離散型の確率変数(discrete random variables)の中で代表的なものだったが、連続型の確率変数(continuous random variables)の中で代表的なものが、正規分布
 
平均値がμ、分散がσ2正規分布はN(μ, σ2)と表現される ※N(平均, 分散)
二項分布はnとpによって変形したが、正規分布はμとσによって変形する
 
正規分布が頻用されるのは、母集団がたとえ正規分布でなかったとしても、そのサンプルの大きさnが大きかった場合、サンプルの平均(標本平均)の分布は正規分布になるから。
また、標準正規分布は頻用される。というのも、標準正規分布は95パーセンタイル値がいくつか、などが分かっているから。
 
「サンプルの平均」の平均:μ(母集団の平均)
「サンプルの平均」の分散:σ2/n
中心極限定理:nが増えるとたとえ母集団が正規分布でなくても平均のXバーの分布は正規分布になる
 
(Environmental Health Sciences)
アメリカの環境保護規制について:EPAが専門機関として主に対応している
政治家は謙虚ではないが、自分たちの専門ではない件については、専門機関に委託している
どのようにして専門機関(Executive branch)が力を発揮するのか。その経路にはいくつか種類がある
①Interstate Commerce Clause を使って
②Power of the purse を使って
③Treaty power を使って
④Property clause を使って
 
アメリカで、連邦レベルでの規制があるのはClean Air ActとClean Water Act、NEPAのみ。温室効果ガスに関する法律はない。従って、EPAはClean Air Actを使って温室効果ガスの取締をやっている。
ACAは非営利の医療機関に対して、SDOHに貢献するようインセンティブを付けている
 
<Best Slide>
中心極限定理:母集団がたとえ正規分布でなかったとしても、そのサンプルの大きさnが大きかった場合、サンプルの平均(標本平均)の分布は正規分布になる

 
 
<Best Reading>
Meyer R. (2017). How the U.S. Protects the Environment, From Nixon to Trump: A curious person’s guide to the laws that keep the air clean and the water pure. The Atlantic, March 29, 2017. https://www.theatlantic.com/science/archive/2017/03/how-the-epa-and-us-environmental-law-works-a-civics-guide-pruitt-trump/521001/
 
アメリカでは環境保護規制の法律がほとんどなく、規制を専門機関に丸投げしているという現状。しかも規制対象になっている物質はわずかで、大企業は規制から外されているなどかなりザルな状態。
 
<コメント>
ケアへのアクセスは、保険、精神的・言語的障壁、移動・時間的アクセスなど様々な要素が含まれる。また、提供されるケアの質も考慮に入れないといけない。また、治療だけでなく、予防医療へのアクセスも考慮する必要がある。racismやethnicityの話だけでなく、LGBTQsや市民権(移民)などによってもケアへのアクセスは影響を受ける。